☆Michelleの作品世界は、アリスの不思議の国である☆
☆1999年9月21日発表☆

Michelleは、恐らく日本で唯一人のラムネ作家である。左の写真をよーく観ていただきたい。この、畳半畳余りの特大ピカチュウは、なんと全部が(あの子供のお菓子である)丸いラムネを、整然と色分けして並べて造ってあるのだ。(写真は、「LOLITA GO HOME展」の時の作品。)他にも、ジョンベネや酒鬼薔薇聖斗少年の肖像等、いわゆる「普通の子供」とは言い難い、ある種病的な子供たちを、同様の手法で描いている。そのように、Michelleは、常に「子供」に関るテーマで創作を続けている。何にこだわっているのかは、作品を観れば自ずと解ることだから、ここでは言わない方が良い。疑問に思う方々は、実物を観に行って下さい。百聞は一見に如かず、である。
甘く切なく懐かしい、ラムネで創るMichelleの作品世界は、キュートでありながら、何故か観る者の胸にナイフを突き付けてくる様な、不思議な毒気を持っている。それを敢えて言葉で表現するなら、「真剣なブラック・ユーモア」とでも言えるだろう。Michelleの作品は、一見、冗談か本気か判断しにくい事が多い。展覧会に於けるライブパフォーマンスで、時に看護婦、時には魔女に変身して我々に語り掛けるMichelle、その姿は少々痛々しさを感じさせる。本人を知れば知るほど、益々解らなくなって行く。いや、解らないと言うのは、観る側の偏見なのだ。取り敢えず、何も想像せずに見に行っていただきたい。きっと、会場でいい塩梅になれる事請け合いである。そして、この展示を見終わった人々は、何かしら不安な思いを覚えながら会場を後にするだろう。そう、目覚めたアリスが、夢を見る前のアリスに戻れないのと同じように。


ここ2年程で活発な作品発表を始めたMichelleのラムネ展覧会も、今回でとうとう4度目となる。何とまあ、飽くなき挑戦心と体力と、作品に対する綿密さには、いつも頭が下がるものだ。これまでのMichelleの活動歴を御存じない方の為に、簡単に過去の展示テーマを紹介しておこう。

@板橋区ミュージアムメセーヌにて。ラムネを食べ過ぎて死んだ幼い兄妹の、ラムネ化した死体を、その美しさ故に看護婦が持ち去った、という架空の設定の元、その死体を解体した姿を、ラムネや接着剤等で立体化した。(当時Michelleが所属していた美大の先生からひどく貶されたという。その先生の方がどうかしてる、心が狭い奴だ。仮にも芸術に携わる者がそんな事で良いのだろうか。)

A東大駒場寮にて。ヘンゼルとグレーテルは、やっぱりお菓子の家の魔女に食べられてしまった、という物語。会場の真ん中にはラムネを貼り合わせて造ったお菓子の家。ヘンゼルとグレーテル役として、Michelle周辺の人物の幼少期の写真を展示し、周りにはラムネ製の人骨をちりばめた。

Bギャラリー・ル・デコにて。幼児虐待の被害者の肖像画を、ラムネを貼り合わせて造った。栄光あるモデルたちは、アメリカで家族に虐殺された幼女ジョンベネ、神戸生首犯の酒鬼薔薇聖斗、幼少期のMichelle自身、そして、やおい漫画で性行為を強制された(?)ピカチュウ。

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