お相撲さんは神様です

―小生の大好きな力士たち―
☆1999年9月21日発表☆

  小生は近頃、大相撲が大好きだ。以前、特に好きだった頃がある。何年前だったか、霧島小錦も平幕で取っていて、が横綱になるか・ならないか、世間が揉めていた。確か、智乃花舞の海琴稲妻(現竹縄親方)、引退して国会議員になってしまった旭道山なんかの、動きの早い小兵力士たちが幕内で、土俵狭しと暴れまくっていた頃である。ハンサム力士寺尾は勿論のこと、当時の幕内には、目の離せない、キャラの立ったお相撲さんが何人もいた。(恐らく、小生のお相撲さんに対する姿勢というものは、中途半端で素人臭いものだと思うが、格闘技経験の無い者の言う事だから、変なところがあってもお気になさらずに読んで戴きたい。)

  ハデハデな黄色のまわしが目立つ、全体にコロッとした朝乃若は、一言でいえば、最も「お茶目な力士」だろう。土俵の上で2度目位に仕切る時、蛙みたいに腹ばいになったり、制限時間最後の塩も土俵に叩き付けたりして、ヤンチャな喧嘩小僧という感じで、凄く強烈なキャラだが、数年前、入幕間も無い頃に、あんなパフォーマンスをするなんて、お茶目さんだから許されるんだろうなあ、と思ったものだ。この人の面白いところは、速攻相撲が得意で、ついでに、自分が負ける時も、速攻でコロッと転がるのが多いところ。何とも憎めない、カワイイお相撲さんだ。頑張って幕内に定着して欲しい力士のひとりである。

  最近は減ってしまったが、仕切りを重ねながら、終始睨み合っていたお相撲さんが、当時は多かったと思う。濱ノ嶋智乃花といった人たちは今でも、よく相手を睨んでいるが、調子の良くない場所では、あんまり強気な表情を見せない。当時の「眼力王」は、やはり、二子山部屋の浪之花にとどめをさす。若貴人気が全盛の当時、小生もご多聞にもれずアンチ二子山派だった。(いや、今でもそうだけど。)大嫌いな二子山部屋の中に、一人だけいた好きな力士が、浪之花だったのである。

  比較的小柄でルックスが可愛らしい、というのもさる事ながら、血気盛んで闘志を顔に出し、おまけにチック症まであって、この人の仕切りはとても賑やかで面白かった。頬っぺたと鼻の穴を膨らまし、それこそ目玉が飛び出てしまう程両目を見開いて、行司に呼ばれては睨み、蹲踞して肩をピクピクさせ、塩を撒いては睨み、仕切っては睨み、相手がそっぽ向いて背中を見せても、その後ろ姿まで睨み付けていた。浪之花が当時の「眼力王」なら、濱ノ嶋「元祖眼力王」だ。濱ノ嶋浪之花の取り組みがあった日にゃ、小生は瞬きもせずにTVに噛り付いたものだ。なにしろ、「元祖」と「現職」の戦いである、取り組む前から、目線で啖呵切っている様なものだ。さしずめ、後楽園のリングの中で、殴り合いながら会話する力石徹と矢吹丈である。

  土俵の上でぶつかり合う両者の強烈な視線は、まるでバチバチと音がする程に火花を散らし、制限時間内に立つ事もよくあった。実際の闘いも、なかなか華のある激しいもので、小生はTVの前で「もっとやれ、もっとやれ!」なんてバカみたいに独り言を言っていた。それから暫くして、初の兄弟横綱誕生だのと世間がお祭り騒ぎしている最中に、浪之花はひっそりと引退し、今では原宿のチャンコ屋さんである。濱ノ嶋も、そんなに老け込んだ訳でも無いのに、最近は怪我も多く、時間前に立つ様な元気は無くなってしまったらしい。あの、視線が火花を飛ばす、闘志でむせ返るような取り組みは、いや、仕切りはもう見られないのだろうか。

  オット、老人の繰り言になってしまった。今のお相撲さんが良くないと言っている訳ではない。(むしろ今の方が、好きな力士も多い。)印象の強かった力士の事を忘れていないだけの事である。この続きは、またの機会に・・・。(←エッ!これって続けるの?)

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