夏休み1


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八月のある土曜日。
従兄弟のマサハル兄さんが、夏休みという事で、うちに遊びに来た。雨が降り出したというので、大して濡れてもいないのに、わざと二人で風呂場に行って、ふざけてみる。幸い、俺の両親は法事があって出かけていて、家の中には、俺と兄さんの二人だけ。

「ねえ、マサハル兄さんは相変わらず平社員?」
「係長補佐!俺はね、趣味でサラリーマンやってんだよ。本業はミュージシャンだっていつも言ってるだろ。」
「30過ぎてそういう事言うのって恥ずかしくねえ?」
「フリーターでフラフラしているお前には言われたくないね。」
「マサハル兄さん、お腹ちょっと出っ張ったんじゃない?」
「んなことねーよ。腹筋は毎日鍛えてんだ。腹筋のないミュージシャンなんてカッコ悪いだろ。」
「白髪、増えたんじゃない?」
「お前、俺が老けたって言いたいのか?コラ。」
「ううん。ねえ、…じらさないでよ…。」

2005.7/11