NO.6 蒼樹山

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◆常に幕内上位にいる、時津風部屋の部屋頭。体が大きく強いのに、何ともお人好しそうなご面相だ。失礼に当たるかどうか知らないが、蒼樹山の表情は、水木しげるの描く妖怪に似ている。妖怪は、言葉遊びから生まれた者もいれば、漠然とした人間の不安を表現した様な者もいる。だが、神から妖怪へと格下げになった者だ、という説も有力である。
◆終戦後、「日本には神はいない」というのが定説になっている様だが、小生はそう思わない。神道の方面から言えば、「日本の神は祭りの場にしか降りて来ない」と、相場が決まっているからである。例えば、祈願成就の御祈祷というモノがある。(NHK大河ドラマ『元禄繚乱』に良く出て来るアレ。)お寺では霊験あらたかに行い、「神様にお願いしたのだから、必ず良い結果が出るでしょう。」と保証してくれるのだが、神社では「取り敢えずお願いしてみるけど、神様はそこまで面倒見てくれないから、あとは自分で頑張らないと無駄だかんね〜。」という姿勢なのである。つまり、日本の神は、お祭り騒ぎには喜んで参加するけれど、日常の仕事に対しては投げ遣りな存在なのである。物理的且つ味気ない言葉で表現すれば、祭りとは概ね、集団心理を興奮の極致へと促す熱気を指すのである。
◆相撲は元来「すまゐのせちえ」と呼ばれ、大漁豊作を願って行われる、神道系の祭りであった。力士が満身の力を込めてぶつかり合う大相撲。土俵の上は、まごう事無き祭りの場であり、ちょっと強引な様だが、力士とは、自らの肉体に神を呼び込むタイプのシャーマンだ、と言う事も出来よう。小生はかなり本気で、お相撲さんこそ神様だと思っている。神様だからこそ、色々あって、妖怪になってしまう力士もいたりする。(別に悪い事では無いが。)今は、誰がそうだと言う指摘はしないが、蒼樹山はまだ人間、否、神の力を持つ力士だ。妖怪にならずに、ひとつ大きな華を咲かせて欲しいものである。(1999年・記)

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